2024年12月期業績について
当連結会計年度における当社グループに関連する市場環境につきましては、エンターテインメント業界では、制作費の高騰や為替の影響が続いているものの、2025年にはライブエンタメ市場規模がコロナ前を超えて大きく拡大していくことが予想され、2024年上半期におきましてはK-POPアーティストの公演数は、前年と比較し増加傾向にあります。放送業界では、OTTサービス利用の増加による視聴者層の分散や若年層のテレビ離れが相次いでおり、多チャンネルサービスの加入世帯減少や広告収入の減少など市場環境は厳しい状況が続いています。
このような経営環境の中、当連結会計年度におけるエンターテインメント事業では、東京ドームにて約10万人を動員した「SMTOWN LIVE」をはじめ、計116公演のコンサートを開催し、約157万人を動員しました。コンサート事業以外のビジネスにおきましては特に好調に推移しており、MD事業では主要グッズのリニューアルなどにより平均客単価が計画を上回り業績をけん引した結果、エンターテインメント事業の増収増益に大きく寄与いたしました。
当連結会計年度におけるライツ&メディア事業においては、ライツ事業で新作コンテンツの獲得営業を積極的に行うとともに、継続しアーカイブ作品の販売を強化してまいりました。メディア事業では、2024年11月28日付「本店オフィスビルの最適化及びメディア事業の事務所移転による固定費削減に関するお知らせ」にて開示したとおり、事業収益の効率化を図り、利益の確保に成功し黒字を維持しています。一方で、多チャンネル市場の縮小による影響は大きく、結果として前年比で累計総視聴者数は約10%減少しました。
また、2024年12月17日付「配当予想の修正(初配)に関するお知らせ」のとおり、2024年12月期の期末配当予想を1株あたり1円00銭に修正し、2025年3月開催予定の当社第54回定時株主総会に付議する予定です。今後も財政状態および経営成績等を総合的に勘案し、事業成長に伴った、継続的な配当を行ってまいります。
この結果、当連結会計年度の売上高は9,716百万円(前期比9.0%増)、営業利益は364百万円(前期比100.1%増)、経常利益は374百万円(前期比96.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は787百万円(前期比200.8%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(エンターテインメント事業)
コンサート事業においては、アーティストのソロ活動におきましては小規模会場を中心に展開したため制作費が嵩むなどしましたが、東京ドームなどの大規模会場での公演も実施し、概ね計画通りの結果となりました。
MD事業においては、ペンライトのリニューアルや価格改定、「ランダムトイ」といった新規商品の企画販売に加えアーティストの人気上昇も手伝って客単価が向上し、好調な推移を見せました。中でも、収益率の高かった「オンラインくじ」は、ファンの皆様から高い評価を得ており当社の予測を上回る購入数を記録し、今後のMD事業の成長を牽引する重要な要素となりました。
音楽事業では、リリースした作品がオリコン週間ランキング1位を獲得するなど順調に推移した他、当初計画外であった作品のリリースも発生し、印税収入が予想を上回る結果となりました。
音楽以外の事業では、広告出演の専門部署を設置したことにより、アーティストの広告起用も増加し売上のみならずアーティストの認知度向上にも寄与しました。加えて、他社主催イベントへの出演による収益も、業績にプラスの影響を与えています。
当社では、コンサート事業に限定されない収益基盤の拡大を成長戦略と位置付け、MD事業に加え、音楽事業や広告起用などのコンサート事業以外の領域にも注力しています。その結果、エンターテインメント事業におけるコンサート事業以外の売上比率は、前期の33%から49%へと増加しました。
この結果、売上高は7,264百万円(前期比14.7%増)、セグメント利益は679百万円(前期比25.5%増)となりました。
(ライツ&メディア事業)
ライツ事業においては、韓国ドラマの供給量に一定の制約がある他、競合との獲得競争もあったものの営業の強化を図った結果、大型韓国時代劇のみならずバラエティや中華圏ドラマといった他ジャンルの獲得も成功しました。その結果、計21の作品を獲得し、対前期比約50%増を達成しました。
メディア事業においては、日本初放送やプレミアムコンテンツの放送により視聴者の新規獲得および解約防止を図っていますが、多チャンネル市場縮小の影響を受け、売上高は引き続き減少しています。一方、人気俳優出演のイベント番組版権販売や、費用削減、字幕権利の販売を通じた視聴料外収益の確保を進めるとともに、前述のとおりオフィス移転によるコスト削減にも取り組んだ結果、黒字を維持しました。
この結果、売上高は2,451百万円(前期比5.0%減)、セグメント利益は261百万円(前期比20.5%減)となりました。
(その他事業)
その他事業では、売上高0百万円(前期比100.0%減)、セグメント損失4百万円(前期は31百万円の営業損失)となりました。
2025年12月期業績について
次期における当社グループに関連する事業環境につきましては、為替や物価高騰の影響を受けざるを得ないものの、国内コンサート市場の成長は継続し、その規模は拡大していくことが予想されています。また、K-POPの人気は依然高いことが予想され、概ね前期同様の経営環境になる見通しです。国内映像関連市場においては、前期同様、供給量に一定の制約はあるものの、韓国コンテンツの人気は継続し当社が保有するアーカイブ作品の視聴需要も高いことが期待されます。
このような状況のもと、エンターテインメント事業におきましては、コンサート事業では、数か所に分け実施していた小規模会場におけるイベントを大中規模会場で一括し開催することで効率化を推進し、コンサート制作費用の削減による売上高の増加を図ってまいります。MD事業においては、日本オリジナルを含むグッズ販売に注力する他、アーティストIPの活用を継続して推進してまいります。前期に続き「オンラインくじ」の販売を検討し、収益の拡大を図ってまいります。新たな取り組みとして、エンターテインメント事業において旅行事業、Musicビジネス事業、エスエムアーティストファンクラブ企画事業を本格的に開始します。旅行事業では、当社主催のツアーやイベントに関連する宿泊や航空券といった手配ビジネスの内製化を推進するのみならず、国内宿泊事業者と協業の上、当社主催コンサートと連動したツアーパッケージも組成販売してまいります。Musicビジネス事業では、アーティストの原盤制作や配信、作品流通を内製化することで、収益基盤の強化を図ってまいります。共に初年度の利益貢献は限定的と見込まれますが、アライアンス企業とマーケティング施策を展開することで、これら事業の成長を目指します。ファンクラブ企画事業については、2024年12月25日付の「ファンクラブ事業に係る兄弟会社との取引開始に関するお知らせ」にて開示しましたとおり、ファンクラブからコンサートまでの一貫したサービスを提供し、シナジーの創出と収益の最大化を目指します。オリジナルIPの育成に関しては、バーチャルアーティストやガールズグループといった新人アーティストを育成中であり、一定のパフォーマンスレベルを確保しています。中でもガールズグループにつきましては、市場競争における優位性を確保するため、デビュー時の差別化を一層強化すべく、デビュー時期を2025年下半期へと見直し、引き続き育成を進めてまいります。
ライツ&メディア事業におきましては、ライツ事業では、継続し新作コンテンツの獲得営業を積極的に行うとともに、アーカイブ作品の販売を強化し、地上波・BS・CS放送やOTTサービスへの版権販売を推進してまいります。メディア事業においては、多チャンネル市場の縮小傾向により視聴者数の減少が予測され、事業環境の厳しさは継続する見通しです。この状況に対応するため、版権サプライチェーンの活用や固定費の削減を通じ、ライツ&メディア事業における利益の確保に努めてまいります。
以上を踏まえた2025年12月期の業績につきましては、売上高9,866百万円(前期比1.5%増)、営業利益405百万円(前期比11.5%増)、経常利益409百万円(前期比9.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は405百万円(前期比48.5%減)を予定しております。
なお、2024年12月期における親会社株主に帰属する当期純利益は787百万円であり、子会社の株式会社エブリシングジャパンが保有していたDearU株式売却益約631百万円を含んでいることから、今期と比較し差異が生じる予定です。
このように、厳しい市場環境の中でも当社は、成長戦略に基づく多角的な取り組みを通じて安定した収益基盤を築いており、今後も持続可能な成長を目指して邁進してまいります。